私の立場上(性格上、もあるだろう)、友というものをあまり持たない。
そんな中で、彼はもしかすると、世でいう「親友」かもしれない。
「ああ、そうだ。それからB棟のサンプル122、138、157のDH検査データを準備しておくように。
・・・そうだな、では2時間後としよう。では」
「・・・ところで、
先ほど現れてから黙って座っているが、何か用かね」
「うん、最近眠れなくてね・・・。薬があれば欲しいんだけど」
「・・・・。
私は薬師でも君の主治医でもないよ。そんなことはお抱えの医師に言いたまえ」
「屋敷の者に言えば、要らない心配をされるんだよ。
君、いろいろ持ってるじゃないか。・・・あ、1回分でいいよ」
「使用人に心配を掛けるのは憚られて、私に迷惑を掛けるのは何とも思わんのかね」
「意地悪言わないでさ。おくれよ」
「だいたい、眠れないというのは何だね」
「・・・・ねえ、グレン。君は身を固めるつもりは無いの?」
「一体、何の話だ」
「・・・世継ぎのためにも、結婚を考えろだってさ」
「ほう。 まあ、急く話ではないにしろ、君にはいずれ必要となる事だろう」