肉親・血のつながり・親兄弟・・・
そういったものを、シーンの民は大切にしない。
嫌悪するわけではない。何とも思わないのだ。
「で、ラウールの具合は?」
「『完治』。
1000年前は不治の病でも、今では点滴1本というところだ。
おそろしく年代物の装置でコールドスリープなどやらかした割には、心身の衰えも殆ど無い」
「大いに結構だ。
病が癒えても、頭も身体も使い物にならない様では意味が無いのでね」
「・・・何を企んでいるやらな。
しかし、身内と言っていたが、よくも調べられたな。
シーンには系図のデータはほぼ皆無。あの時代なら、クリムゾの管理下だろうに」
「お偉い方の、お力添えでね・・・」
「ふん、王族に媚でも売ったのか。
相変わらず、真っ当な生き方をしていないようだな。
まさかこうして会うまでは、どこぞで野たれ死んでるものと思っていた」
「おや、俺のことを気にかけて下さっていたとは」
「そんな最後が相応しいと言ってるんだ。
星を捨てた戦狂いにはな」
「ふ・・・。随分と、母星想いになったものだな、『先生』?」
「触るな、忌々しい!
他に用が無いならとっとと出て行け。
私には調べることが山ほどあるのでね」
「興味深い調べ物を提供したのは、俺だろうに」
「煩い。引き取りは2週間後だ。
安心しろ、異常をきたすような処置はせん。
あくまで患者扱いだからな」
「お手やわらかに。
・・・ああ、迎えには来れん。追って送り先を連絡するからよろしく頼む」
「では、また会うことがあれば。クライン」
「・・・・・ふん。
ボスに知れると面倒だな・・・。内密に進めねば」
モドル